好きだって言って?
「名前は、───────」
男の言葉をあたしはじっと待った。
だって...気になるし?
あの花江中にそんなすばらしい人が居たなんて、信じられないんだもん。
男はもったいぶった様に、もう一度同じ冒頭から始めた。
...それがすごくじれったかったりする。
「名前は、天宮───────」
...え...あたしと同じ名字?
身長と名字が一緒だなんて、どんな偶然!?
でも、花江中に〝天宮〟なんて名字、あたしだけだった気がするんだけど...。
・・・・・。
・・・・ま、まさか・・・?
「そのまさかみたいだな」
名字しか言い終わっていない男の言葉をさえぎり、半分は笑ったような声が聞こえた。
前方から聞こえた、あたしをあざ笑うかのような声。
そんな声の持ち主はあたしの知る限り、一人しか居ない。