好きだって言って?
廊下に無理やり連れて来られたあたし。
廊下に出るなり、階段の踊り場まで足を動かした。
「・・・ちょ、いい加減離せよっ!」
「お前、達者だな?」
ニヤリ・・・とも、にっこりとも言わない笑みで口を開いた翔。
あたしに向き合う形になった翔の身長に、あたしは後ずさりしてしまう。
・・・が、そこで気が付く。
あたしのかかとはコツンと壁にあたる。
・・・挟まれてる。
あたし、翔と壁の間にいるんだ。
「な、何だよ・・・何が達者だって?」
焦りを隠せないあたしは口調に出てしまう。
いくら、男の格好をしていても、心は女のものだ。
仮にも容姿だけは特上クラスの翔が目の前にいる・・・心拍数はそれだけで向上する。