重大発表
-boy side-
彼は今
重大発表をすべき立ち位置にいる。
その重大発表を聞く状況の立ち位置には、
少し日焼けた女子高生。
彼はしがない男子高生。
こんな場面は初めてで、目が白黒。
とても暑い夏の日で、
最高気温は38.7℃。
くらくらする。
彼女は眩しそうに上を見て、
彼へ視線を向ける。
くらくらする。
地上120cmの高さじゃ
38.7℃かもしれないが、
彼の感じる暑さは
はかりしれたもんじゃない。
時間の空きの流れの中に、
蝉の鳴く声が目立ってきた。
もうずいぶん呼び止めてから
時間は経っている。
彼女もだんだんわかってきたようで、
少し視線を落とす。
罰が悪そうに。
それを見て、
あーあ、
とは思っても、
今日は彼女に重大発表をすると
胸に誓ってきたのだ。
心拍数と体温は、
今日の気温よりも急上昇。
彼女がもう一度彼に目を戻してから、
少し格好をつけた声で、
「好きだ」
蝉に邪魔されたけど、
重大発表はしっかり届いた。
彼女の笑顔が、
太陽より眩しい。