-roop-

メダルゲームや、シューティングゲーム。

それから二人で一緒にいくつかのゲームをした。

誠さんはUFOキャッチャーの時以来、私に選択を求めなかった。



次はあれしよう、今度はあれしよう

嫌味一つなく、笑顔で提案してくれる。



くだらないことで笑い合った。

笑い合えた。




でも、それでもやっぱり…時々、彼を騙している罪悪感に襲われる。

ガラスに映る千夏さんの姿に何度も胸が痛んだ。




「おっ!千夏!プリクラは?嫌?」




……プリクラ……


はっきりと見せ付けられるであろう…誠さんの隣に並ぶ千夏さんの姿。

偽物の恋人の隣で嬉しそうに笑う誠さんを見れば、ますます自分の心は罪悪感に押し潰されてしまうだろうと思った。

誠さんが喜べば喜ぶほど、私は嬉しい。




でも…私じゃない。私じゃない。

彼が笑って喜ぶべきは私じゃない。


だって私は貴方を

騙しているのだから………。





恋しくて恋しくて、だけど会えない。

約束すら守れなくて、でもどうしても守りたくて、赤の他人の私に頼んだ千夏さん。


霧の世界で私を待つ千夏さんに、彼に対して少しでも甘い感情を持ってしまった罪悪感を感じた。


二人への罪悪感に苛まれながら、私は明るい声を絞り出す。


「………うん!撮ろう!プリクラ!」

< 103 / 293 >

この作品をシェア

pagetop