-roop-

プリクラの機械が集められたコーナーは、ほとんどカップルでいっぱいだった。


「千夏、あれにしようか!」


指差したのは、一番左側にある機械。


丁度プリクラを撮り終えたばかりのカップルが出て来てきるところだった。


カップルが出て来るか来ないかの微妙なところにも関わらず、誠さんはすかさず入り込み、白い歯を零して私を手招きする。

押し退けられたカップルは怪訝そうに私と誠さんを目で往復しながら去っていった。


「も~誠さんっ」


私は苦笑いしながら、誠さんの元へと向かう。




「う~んやっぱ美白モードかな~」


「あはは」


まるで女子高生のように次々と設定を決めていく彼を、つい笑ってしまう。



…千夏さんとも…よく来てたのかな…。

それとも…私に気を遣って色々と決めてくれているのかな…。



笑顔の裏では、やっぱり千夏さんではなく、本当の私の感情が渦巻いている。

けれど誠さんは、人を笑顔に出来る人だと、純粋にそう思った。


「よしっ撮るぞっ」


そう言いながら髪型を整える誠さん。


…ドクン


画面に映る顔があまりにも明白で、やっぱり胸が痛んだ。


「ほら千夏!もっとこっち来ないと映らねぇぞ!」


グイッと手を引かれ、戸惑う千夏さんの顔がますますはっきりと画面に映った。

誠さんは私を前に引き寄せる代わりに、自分の身体を後ろに下げる。


普通の恋人同士なら画面いっぱいに身を寄せるはずなのに、私の後ろで遠慮がちに笑う誠さんの表情に胸が軋む。



『カシャッ』
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