-roop-

私は微笑みながら、ゆっくりと夜風に囁いた。


「式…挙げなくちゃね…」


「……!」


私に触れる手が止まった。


「…千…夏……ど…して…!!」


「病院に置いてあった…カレンダー…見ちゃった…」


私の言葉に、誠さんは言葉を詰まらせた。




二人の間を夏の風が通り抜ける。

星たちが瞬く漆黒の夜空は、ますますその色を深めていた。






「千夏……」

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