-roop-
本当なら
本当なら怖いのかもしれない。
自分ではない…誰か別の人を見ている貴方の傍にいるのは。
どんなに見つめられても、それが本当の自分に向けられたものでないことは…
怖くて怖くて
たまらないものなのかもしれない。
けれど
貴方の優しさが、その恐怖を消し去ってくれた。
まるで、本当の私を包み込むような貴方の優しさが消し去ってくれた。
私に違う呼び方で名前を呼ばれたとき
想い出の品を片付けるとき
私が数え切れないくらいの日々を過ごした部屋へ入るとき
どんな時も並んでいた二つの枕を引き離したとき
剥がしたカレンダーの跡にポスターを貼ったとき
いつも一緒に吸っていたはずの煙草が吸えなかったとき
貴方はどれだけ苦しんだ?
貴方の胸はどれだけ痛んだ?
私への優しさと引き換えに…
どれだけの涙を…貴方は流したのだろう…?
例えそれが私のためではないとしても、
貴方の優しさは確実に、一つ残らず私の心を包んでいるのに
貴方を…
白い歯を零して笑う貴方を…
無邪気に笑う貴方を…
「怖いなんて…思うわけないじゃない…っ」
誠さんは優しく私の頭を撫でた。
「……それなら…いい…」
「誠…さ…」
本当なら怖いのかもしれない。
自分ではない…誰か別の人を見ている貴方の傍にいるのは。
どんなに見つめられても、それが本当の自分に向けられたものでないことは…
怖くて怖くて
たまらないものなのかもしれない。
けれど
貴方の優しさが、その恐怖を消し去ってくれた。
まるで、本当の私を包み込むような貴方の優しさが消し去ってくれた。
私に違う呼び方で名前を呼ばれたとき
想い出の品を片付けるとき
私が数え切れないくらいの日々を過ごした部屋へ入るとき
どんな時も並んでいた二つの枕を引き離したとき
剥がしたカレンダーの跡にポスターを貼ったとき
いつも一緒に吸っていたはずの煙草が吸えなかったとき
貴方はどれだけ苦しんだ?
貴方の胸はどれだけ痛んだ?
私への優しさと引き換えに…
どれだけの涙を…貴方は流したのだろう…?
例えそれが私のためではないとしても、
貴方の優しさは確実に、一つ残らず私の心を包んでいるのに
貴方を…
白い歯を零して笑う貴方を…
無邪気に笑う貴方を…
「怖いなんて…思うわけないじゃない…っ」
誠さんは優しく私の頭を撫でた。
「……それなら…いい…」
「誠…さ…」