-roop-
「千夏が俺の傍にいて怖くないのなら…辛くないのなら……俺はそれでいい……」
悲しくて切なくて、狂おしい彼の目は、どこまでも真っ直ぐに私の胸に突き刺さる。
「無理…しなくていいから。ゆっくりでいいから…。思い出せなんて言わないから…またもう一度……俺のこと好きになって…?俺…待つから…。」
「…誠さ…」
「……そしたら………結婚しよう………?」
「……っ」
熱い想いと優しさに…涙が止まらなかった。
遠慮がちに髪を撫でる手。
けれどその温もりはしっかりと伝わってきた。
千夏さん…
千夏さん…ごめんなさい。
今の彼の言葉は世界中で貴方だけのものなのに
彼の優しさに涙していいのは…世界で貴方一人だけなのに
心に染み渡る誠さんの想いに…込み上げるものを押さえることができませんでした…。
彼の真っ直ぐな目は
身体を…瞳を突き抜けて、
奥の奥に存在する、本当の私を見てくれているような気さえしてしまうのです。
分かっています
分かっています
けれど今だけ………泣いてもいいですか…?