-roop-
「…何言ってんだろ…」
ショートの髪をくしゃっと掻きむしる。
『羨ましい』だなんて、何言ってんだろ私は。
本当の私は…
こうして誰かに
大切にされたことはあったかな
自分が自分であるというただそれだけで…
他のことは無条件に
愛を注いではもらえたのかな
泣きたくなるくらいに
愛されたことはあるのかな
たとえ死ぬ前の本当の私が、誰にも愛されることなく、命を散らしていったのだとしても
誠さんの気持ちが、
今の本当の私に向けられてるのなら
それで…構わないのに
そう思った。
そんな醜い私の心を戒めるような、鏡に映った千夏さんの顔。
「…千夏さん……」
分かってるよ…。
ザアアアァー
思い切り捻り出した水で顔を洗った。