-roop-
最期の文字
ポスターに当てた手をギュッと握りしめて、深く息を吸い込んだ。
少しだけ、傾いた太陽の光も一緒に吸い込む。
チラッと目についたベランダ。
悲しい背中と切ない煙が頭をよぎって、慌てて視線をそらした。
私は淀んだ気持ちを無視するように、気持ち悪いくらい大袈裟に身体を動かして、冷蔵庫に飲み物を取りに向かう。
カチャ…
ひんやりと漏れる冷気が肌に心地いい。
今日の朝も見たはずのマーガリンの箱に心が軋んだ。
それを振り切るようにペットボトルに入った烏龍茶を取り出す。
「……ん?」
ふと、冷蔵庫の底から白い紙切れが覗いているのが目についた。
私はペットボトルを台に置き、その紙切れを拾い上げる。
紙切れ自体はまだ新しかったが、冷蔵庫の下の埃が絡み付いていた。
まだ白い紙の色と、埃の付き方の差が不自然だった。
何か文字が書かれていたが、文字のある面が下になっていたため、埃で覆われて字が読めない。
私は少し躊躇いながらも、その埃を払った。
その紙から
次第に可愛いらしい文字が浮かんでくる…