-roop-

すれ違う温もり

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「ん……」


また夜中に目が覚めた。


寝室の深い青のカーテンはしっかりと閉められていて、もはや月がどこを動いているのか分からなかった。




キィ…


静かに寝室を出て、リビングを覗き込む。


また…

誠さんの布団は無造作にめくれ上がっていた。

開いた窓から流れ込む夏の夜風がカーテンを小さく揺らしている。

時計の針は午前三時過ぎを指していた。



誠さん…明日も仕事朝早いのに…。

私のせいで…眠れないのかな…。




無機質にそこに在るだけの布団に

胸が痛んだ。



吸い寄せられるようにベランダへと足を忍ばせる。

夜風に煽られているカーテンを少しめくると、またベランダから灰色の煙が上がっていた。

ふと最初の夜に見た誠さんの背中が頭をよぎる。



やっばり…戻ろう…。



めくったカーテンを下ろそうとしたそのとき…



「…千夏…?」


ビクッ

恐る恐るもう一度カーテンをめくり上げてベランダを覗き込む。

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