-roop-

「でっ…でもさ、今日のあの豚肉を炒めたやつ?ほんっとに旨かったよー?」


あ…白い歯が…零れる…


私も微笑んだ。

誠さんは短くなった煙草を灰皿に捩込んだ。





嫌だ…まだ……この時間を終わらせないで…

まだ…一人になりたくない…

まだ…




誠さんはポケットから赤い箱を取り出し、トントンと軽く叩いた。

頭を覗かせた一本を取り出し、口にくわえる。





良かった…まだ…

この時間は終わらない…





誠さんがまだ此処で煙草を吸ってくれることに不思議なくらいに安堵する。

最初は抵抗したこの安心感さえも、いつしか私は素直に受け入れるようになっていた。




好き…?

私は…誠さんが好き……?




違う

違う…



この気持ちを言葉になんてしたらだめだ。


罪悪感と自分の欲望の入り交じったこの汚い気持ちを

自己中心的な気持ちを

恋とか愛とかいった言葉で括り上げて

彼に押し付けるようなことをしてはだめだ……。
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