-roop-
ただ傍にいたい
傍に居てほしい
それだけのこと。
私はただ
千夏さんとして傍にいて
千夏さんとして愛される
ただそれだけのこと
ただ…
それだけの…
「何で…急に飯作ろうと思ったの?」
誠さんは新しく火を燈した煙草をくわえながら問いかけた。
「えっ…?」
頭の中にあのメモが…
千夏さんが最期に書いたメモが浮かんだ。
言えない…
言えないよ…
「な、なんかテレビで作ってるの見てさ、美味しそうだな~って思って!」
私は手摺りを握り締めながら笑顔で言った。
「そっか~。いい番組あってんな~。」
ほんとはね。
貴方と千夏さんの最期の想い出の料理を作ろうとしてたんだよ。
もしも…
もしあの時テーブルに並んでたのが肉じゃがだったら
貴方は…泣いていたかな…。