-roop-

…ポン


誠さんはまた軽く私の頭に手を乗せた。

そして…優しく微笑む。



「……いいんだ…無理させてごめんな…?今日は…もう寝よう?」



--無理しなくても…いいんだよ…--



誠さんは私が気を遣っていると思っていた。




そうじゃないのに

そうじゃないのに


だけど…そうじゃないと

気を遣ってるとかじゃないと

本当に抱きしめて欲しかったとそう思ってしまったこと…

そしてそれが

許されないことであるということが、どうしようもなく辛かった。



求めれば求める分だけ思い知らされる。

近付けば近付くだけ思い知らされる。



この矛盾にも似た関係に、私はただ胸を痛めるしかなかった。




「…ほら…」


誠さんはリビングの中からカーテンをめくりあげて私を中へと促す。



手を…差し出してはくれない…。




私はそのカーテンをくぐった。
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