-roop-
『愛してる』
そう伝えることさえもう彼には叶わないことなの…?
どんな想いで消したの?
書き終わることないまま消した文字。
閉じ込めた想い。
「誠さ……っ」
約束してたんだから…結婚すればいいじゃない…。
千夏さんに記憶が…想い出がなくったって
俺たちは婚約してたんだって言い張って
結婚すればいいじゃない…。
どうせ私は千夏さんじゃないんだもの。
言いたいこと言ってしまえばいい。
たとえそれで傷ついたとしても、それで傷付くのは貴方の大切な千夏さんじゃなくて
私なんだから…。
無理するな無理するなって…
「…無理してるのは…誠さんの方だよ……っ」
頬を伝い落ちたものが手紙に染み込んでいく。
「……?」
何も書かれてはいない部分に、反転した文字が浮かび上がった。
裏にも…何か書いてある…?
私はゆっくりと手紙を裏返した。
……っ