-roop-

私はその背中の後ろで小さく零す。




「無理……してるみたい……に見える……」




私は余計なことを言っているのかもしれない。

だけど…それでも放っておくなんて出来なかった。


自分の感情を押し込んで、大切な人を優先してしまう貴方だから。





--『少しだけ…抱きしめてもいい…?』--



やっと見せてくれた本当の気持ちさえ



--『無理しなくていいから…』--



閉じ込めてしまう貴方だから…放っておくなんて出来なかった…。





コトッ

誠さんは、背中を向けたまま缶ビールをテーブルに置いた。


「…へへっ……俺……ほんっと情けねぇなぁ…っ」


テーブルに置いたままの缶に、誠さんの手の力が加わっていくのが分かった。

誠さんは、背中を向けたまま言葉を続ける。





「……ずーっとお得意様だった取引先をさ………ライバル社に取られちまったんだ……」



誠さんの頭がうなだれる。





「……俺の契約相手奪ったの………誰だと思う…?」


「え………?」
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