-roop-



冷たい…雨…


なのに…背中が…

燃えるように…熱い…







ザアアアアアアーー…









「ま…ことさん…?」



「千…夏っ……!」



背中から強く抱きしめられていた。






全身の血が……沸騰する……。







「千夏………っ」






耳元で響く…低い声。

こんなにも近くに感じる吐息。

きつく…抱き寄せられた身体。



その腕からは狂おしいほどの想いが伝わってくる。






「…っ…誠さっ……」




愛しい…

愛しい…


声が…温もりが…貴方が…。





誠さんを感じる身体の全てが震えた。





このまま二人の熱で溶けて

雨に流されて

そしてひとつになってしまえばいいのに…


全てを包み込む狂おしいほどの熱。


身体に回された力強い腕に、私はそっと自分の手を重ねた。
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