-roop-

温かい夜

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キィ…

シャワーを浴び終えてリビングに戻る。


「お、温まったか~?」


何事もなかったかのように明るく微笑みながら、いつものようにリビングに布団を敷く誠さん。


「うん…ごめんね、先にシャワー浴びちゃって…」


「な~に言ってんだよ!先にシャワー浴びて良いで賞を受賞してんだから」


ポン

そう言って笑いながら私の頭を小さく叩く。


「あっ、いつも言うけど、特に今日はちゃーんと髪乾かしてから寝ろよっ!」


まるでお兄さんのように威張りながら言う誠さんに、思わず小さな笑みが零れてしまう。

そんな私にまた笑顔を向けると、誠さんはリビングを出ていった。





…カチャ


ふと自分の寝室の扉を開ける。

真っ暗な部屋に浮かぶ、一つだけの枕。

何故か今日は、そこに寝るのが怖かった。



小さくシャワーの音が聞こえる。




込み上げる寂しさを飲み込むようにして、そっと寝室に入った。

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