-roop-
バシャッ
「ほら!千夏!」
また降りかかる飛沫。
私は胸を締め付けるはかなさを取り払うように、わざと頬を膨らませる。
「も~…誠さんっっっ!」
バシャッ!
「うおっ!」
私も海の中に足を入れながら誠さんに水を投げかける。
「って、おい!千夏!水かけすぎだってっ!こんなんで車乗れねぇよ~!」
誠さんの淡いベージュのTシャツは、私の一撃でびしょびしょだった。
本気で慌てるその表情さえ
やっぱり何処か儚くて…切ない……。
気まぐれにその笑顔を照らす月のせいだろうか
此処が…私の知らない二人の想い出の海だからだろうか…。
それとも
この笑顔がもうすぐ
見れなくなってしまうからだろうか…。