-roop-

「地獄には…生前の記憶は…死ぬ前の記憶は持って行けないって言ったでしょう?それは…何故だと思う?」


彼女の問いに、私の体が何かを悟って疼いた。

知りたくない。


そんなの知りたくないのにー…!


体を反らしても、意識が次に彼女の口から出る言葉を待っている。

全神経が、震えながらも真実を知りたがっていた。


彼女は、怯える私の視線に気遣いながら、ゆっくりと言葉を発した。



「地獄へ行く者は…その前兆として…審判の心房で既に生前の記憶を喪失している可能性が高いの…。」


私は…息を飲んだ。


「…地獄に生前の記憶を持っていけないのは…記憶を失うのは…

現世でそれほど恐ろしいことをやったからよ…」



ドクン…


心臓が聞いたことないくらいの音を立てて跳ねた。



……え…?

…死んでいる…はずなのに…?



青ざめながらも、私は右手を自分の左胸に当てた。




「…っ」



一瞬

呼吸の仕方を忘れた。



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