-roop-

「……っ誠さんっ…?」


突然誠さんに抱きしめられた。

濡れた身体が、私を強く抱きしめる。


まるで私たちがもうすぐ離れることを知っているみたいに

強く強く抱きしめる。



冷たさの中か、溢れるように伝わってくる誠さんの温もりに、涙が零れた。


でもそれを誠さんに知られないように…必死で明るく声を出す。




「まっ…誠さんっ…もぉっ、私まで濡れちゃうって」


「……だからだよ」


誠さんの腕の拘束が、強くなった。


「…水かけるより…こうした方が…早いだろ…?」


少し間を置いて、私は小さく笑いながら言う。


「なっ…何それーっ。そっ、そんな理由で抱きしめたりなんか…」


「ほんとは…」


「………」







「…ほんとは…っ…ずっと………ずっとこうして抱きしめたかった……っ」



「………っ」


涙が止まらなかった。


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