-roop-

知らない海


空はすっかりその深みを増し、海もそれを映し出している。

ただ延々と、波が寄せては返す。

二人で並んで浜辺に座った。

空と海の境界が見えず、まるで空がそのまま浜辺に打ち寄せているみたいだった。




少しだけ触れた唇…

どうしようもなく切なくて、ただただ涙が溢れた。



誠さんも、少しだけ泣いていた。





--『他人の気持ちと自分の気持ちを比べたって何も分からない』--




だけどね千夏さん…


あの時彼の流した涙と私が流した涙の理由は、

何故か…同じような気がしたよ…?

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