-roop-
「ねぇ、聞こえる?」
ん…?
「ねぇってば」
誰…?
せっかく人が気持ちよく寝て…
「ねぇってばっ!!」
「うわぁぁぁ!!」
頭の奥で微かに聞こえていたはずの声が急に現実味を増し、私は慌てて跳び起きた。
「…やーっと起きた…」
私の目の前で溜息混じりにそう言い捨てる女性…
茶髪のショートカットに…
切れ長の瞳…
え…な…に…
貴方は一体だ…
「って…えええええ!!」
私は目をひんむいた。
「もー起きて早々うるさいなぁ~」
呆れたように耳を塞ぐこの女性は…
だって…だって…
「うっ…うううう浮いてる………っっ!!!」
私はその女性を指差して大声で叫んだ。
不機嫌そうな顔の女性は、真っ白い霧の中で、間違いなくふわふわと浮かんでいた。
そう真っ白な…
霧の中で…
ん…?
真っ白い…
霧の中…?
「う…そ……」