-roop-
ふとガラスに映る自分の姿。
ショートカットで。
切れ長の瞳。
この指輪は…空に
空にいる千夏さんに持って帰れるだろうか…。
彼女も今の私と同じように
自分の左手を見ながら頬を緩ませることはできるのだろうか…。
………嘘だ。
本当はこの指輪は私だけの物にしておきたいと…そう願っているくせに。
ガラスに映った顔が歪む。
私ってほんとに
「…最低だな…」
「ん?千夏、何か言ったか?」
「へっ?う、ううん、何も!ほんっと綺麗だな~って思って!」
慌てて笑顔を作る。
「…だな!」
誠さんは無邪気に笑う。
無邪気に笑う。
笑う。
明日が終われば
もう見れない。