-roop-
刺さった言葉
人込みの中を
半ば無意識に駆け抜けた。
マエノチナツナラ
ソンナコトイワナカッタノニ
マエノチナツナラ
……マエノチナツナラ
誠さんの苛立った低い声が頭の中をぐるぐると回る。
聞きたくないのに…
思い出したくもないのに耳にこびりついて離れない。
心臓がひたすら鈍い音を上げながら全身に血を押し出していく。
私はただ貴方に無理して欲しくなかった。
私のことでたくさんの気持ちを押し殺してきた貴方だから。
せめて千夏さんに関係のないことくらいは…力になりたかった…。
貴方を騙していた罪滅ぼしのつもりなんかじゃない…。
ただ貴方が好きだから…
好きな人を支えたかった。
それだけだった…。