-roop-

がむしゃらに走り抜けた先に、小さな公園を見つけた。

中が空洞になっている大きなアスレチック。


子供の頃のことなんて何も覚えてないくせに。

何も知らないくせに何故か懐かしい気持ちになった。

こんな私にでも…公園の遊具で遊ぶような、そんな無邪気な頃はあったのだろうか…


まるで…そんなわけないだろうとでも言うように自嘲が込み上げる。





--地獄送りの罪人--




記憶喪失で現世に何の未練もない。

ただ再び舞い降りた先で、どうしようもないほど恋しい人に出会った。


その人のためなら…その人への想いを貫いてもいいというのなら

地獄送りになったとしても…それでも構わないとすら思えた



たとえ許されない恋だとしても

貴方が何も知らなくても

私が千夏さんの代わりであっても


それでも…

限られた時間でも貴方の傍にいれるのならば

それで良かった…



なのに





--『前の千夏なら…そんなこと言わなかった』--




やっぱり千夏さんの代わりとしてでさえも…

私は愛してはもらえない…。

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