-roop-
雨降る外に私は小さく零す。
「…誠さん……」
「ん…?」
明日で最後
明日で最期
その声も、温もりも、優しさも、「最後」だから……
「…ねぇ……出逢った時の…話聞かせて…?」
「え…?」
心配そうに私を見る誠さんに、私は穏やかな笑顔を向ける。
「…だって…私たち明日結婚するんだよ…?馴れ初めくらい…知っててもいいでしょう…?」
本当に自分でも驚くくらい穏やかな気持ちだった。
私の知らない二人の話を聞くのは辛い。
けれど…此処でこうして寄り添う二人の全ての始まりを
ただ純粋に知りたいと思った。
誠さんはギュッと私の肩を抱きしめる。
そして誠さんは、再び穏やかになった霧雨に
小さく少しずつ
大切な宝物を取り出すかのように言葉を零していく…