-roop-
悲しい出逢い
「……お前が…千夏がまだ高1のとき…俺がお前の高校に転入して来たんだ……」
「…誠さん…転校生…?」
「そう……ちょっと…悪さしちまって……もう向こうの高校にはいられなくなった…それでまぁ…一年留年してたんだけど」
誠さんは苦笑いしながら私の方を振り向いた。
「…でも…俺たちが初めて逢ったのは……教室なんかじゃないんだ……」
ふと誠さんの外を見る目が何処か遠くなる。
「……今から話すことは………千夏には…少し…辛いことかもしれない……」
--貴方くらいの時にいじめに遭ってたの--
このことだろうなと思った。
でも…
「それでも……私たちが出逢うのに関係のあることなら……聞きたい…」
誠さんはもう一度私をギュッと抱き寄せた。
大丈夫だから
大丈夫だから
抱きしめられた強さと温もりからは、そんな誠さんの声が聞こえる気がした。