-roop-
「うん……前にも…同じようなこと…聞いたね……」
私は照れるように言った。
誠さんはまた私をその力強い腕の中に閉じ込める。
「確かに……今の千夏は…何も覚えてなくて…不安で…怖いかもしれない……でも…でも…それでも……」
誠さんの腕の拘束がギュッと強くなる。
「それでも俺は………今のお前を……愛してるから……」
--今のお前を愛してるから--
私を…愛してる…?
今の…私を…?
「ま…誠さん、だって私っ」
唇に人差し指を当てられる。
「…あのパターンの発言はもうなしな…?」
無邪気な笑顔を浮かべながらそう言う誠さん。
だけど…だけど…だって私は…
私は…
「前の千夏も……今の千夏……俺は本気で愛してる…だから…」
「…他人でも?」
私は思わず言葉を発していた。
誠さんは不思議そうな顔を浮かべている。
やっぱり何でもない…そう言おうと思った。
だけど、どうしても聞きたかったんだ…