-roop-

リビングに戻って窓を閉めると、怖いくらい静かだった。

ただささやかにクーラーの風が部屋をさまよっているだけ。


けれどこれも…この寂しさも最後。



---「最期」---




そう思って見渡すと、こんなにもこの部屋が鮮やかに見える。



『今夜は…少し冷えるもんな…』



一緒に身体を並べて眠ったリビング…。



『あぁ、どれでも好きなの使って?何がいいか分かんなくってさ!』


二人でマーガリンを塗ってパンを食べたテーブル…。



そして…

初めて誠さんを抱きしめたキッチン…





部屋の隅々に…私たちの想い出が刻まれていた…。

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