-roop-

寝室のベッドの枕元には、あの時のうさぎのぬいぐるみが座っている。


「…最近…こっちで寝てなかったもんね…」


私はぬいぐるみを抱きかかえた。



『千夏!ほら!どれがいい?』


『あ~!惜しい!千夏いまの見たか!?ギリで落ちるとか悔しい~!!よし、もう一回!!』


『よしよしよし…そのままそのまま…』


『よっしゃー!!』





誠さん…

誠さん…

誠さん……離れたくないよ………っ



「…っうああああ…っ………!!」




涙が一気に溢れた。

心に詰まっていた想いが……一気に溢れ出した。



「誠さんっ……誠さっ…」



頭の中に、誠さんの顔をくしゃっと崩す笑顔が

泣きそうに笑う顔が

手の温もりが

優しい声が…


一気に押し寄せる………。
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