-roop-
煙草送り
…ドクン
…ドクン…
心臓が不自然な音を立てる。
開けない方がいい気がした。
でも、どうしても開けなくてはならない気もしていた。
…カチャ
開かれた扉の向こうには、誠さんのスーツと衣服がかけられている。
…なんだ…気のせい…?
キィ…
再び扉を閉じようとしたその時、奥の方に崩れ落ちそうに傾いた段ボールの箱を見つけた。
急いで…無理矢理押し込まれたような段ボール箱…。
そして、その箱の中から飛び出した…一本のビデオテープ…。
私はそのビデオテープに手を伸ばした。
「………」
胸騒ぎがする。
けれど、暗いクローゼットの中で…その一本のビデオテープが私の心を掴んで離さなかった。
私は息を飲んでもう一度手を伸ばす。
暗闇の奥から取り出したビデオテープに日の光が当たる…
「…………っ!!」