-roop-
彼女の依頼
「え…?たす…ける…?」
「…そう。私に協力してくれれば…貴方が地獄に行かなくてもいいようにしてあげる…」
地獄に…行かなくて済むように…?
次々と突きつけられる信じ難い話…
全てを嘘だと思っているはずなのに、彼女の依頼に意識を傾けてしまった自分がいた。
「な…そんなこと…できるの?」
私は疑いながらも、少しの期待が芽生えているのを感じていた。
「私の頼みをきいてくれれば、きっと貴方が現世で犯した罪は浄化されるわ。」
私の肩に置かれた彼女の手が、強さと熱を帯びていく。
「『きっと』…?…確実…では…ない…の…?」
私がそう零すと、彼女は少し気まずそうな表情になった。
でもすぐに真剣な目つきに戻り、その視線はむしろ先程よりも力強くなっていた。
「確実だとは言えない。…でも、このまま何もせず地獄行きになるより…
…マシでしょう?」
「…っ」
私は息を飲んだ。
確かに
このまま何も分からないまま地獄行きになるよりかは、このチャンスに賭けるべきなのかもしれない。
「…私に…賭ける…?」
微かな自信さえも伺えるような彼女の口調
でも…彼女の頼み事って一体…?
彼女だってもう既に死んでいるはずなのに、今更なにを望んでいるのだろう…
魂しか、それも何の記憶も持ち合わせていない私に、何を頼むつもりなのか…
私は、動揺していた目にキッと力を入れて彼女を見据えた。
「…何を…すればいい?」
この言葉を聞いた瞬間、彼女の口角が上がった。