-roop-

どうしても………どうしても涙が止まらなかった…。

心が…心が泣く……。


叶わない想いに…敵わない想いに…

偽物の器の中で…弱っちい心が泣く……。



こんな笑顔の写真をしまわなくてはならなかった誠さん…。

一人で想い出の物を段ボールにしまう誠さんを思うと、胸の奥が張り裂けてしまいそうだった…。


そして

このクローゼットの中にスーツをしまう度に、貴方は泣いていたのかもしれない。


溢れる想いに…奥の奥に押し込められた想い出の箱に…

ただ唇を噛み締めていたのかもしれない……。



--開けて…開けて…

しまってしまわないで…忘れてしまわないで……--




クローゼットの奥から聞こえる千夏さんの声を聞きながら、誠さんはこの扉を閉めていたのだろう…。


「誠さ……っ…」


ふと箱の奥にある物を見つけた。
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