-roop-







「……やっぱり…っ…」


私は声を殺して泣いた。


壁に残された白い跡に……ピッタリのカレンダー……。


7月27日…今日の日付には


「あぁぁぁぁあ…っ!!」



赤い…ハートの印…。



この日から生涯離れることはないと…二人が微笑みながら付けた…赤い印…。

決して…決して離れることはないと信じて…



--『結婚式』--



その文字は、病院にあった卓上カレンダーの文字ではなく、あの最期のレシピと同じ筆跡だった…。

7月の、夜空を彩る花火の写真の付いたカレンダーには、それ以外何も書き込まれていなかった。



7月19日



…私が目覚める前日までの日付が、ただ斜線で消してあるだけ。


目覚めることのない愛しい人との日々を数えて、此処に立ってペンを持つ誠さんの姿が浮かんだ…




今日もまた目覚めなかった

今日もまた目覚めなかった


どんな想いで…一日一日を消していったのだろう…。



無情にも縮まる結婚式との日々を数えては、

どんな想いで此処に立ち尽くしていたのだろう……。
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