-roop-

「千夏の言った通り、よく晴れたなー!」



見上げれば、どこまでも青い空。

夜になればきっと、その名の通り満天の星空になるのだろう…。



カサッ

誠さんは小さな袋の中から、一つの紫のビロードの箱を取り出した。

二人の夫婦の証が入った、世界でひとつの…かけがえのないもの……。


誠さんはそれを私に向けてゆっくりと開く。

開かれた中には少し大きさの違う……二つの指輪…。

太陽の光を浴びて…キラキラと輝く……。



「…太陽に…溶けちゃいそうだね…」


私がそう零すと、誠さんは笑った。



「…バカ……んな安物じゃないよ……」


波が寄せては返す音がする…。





「千夏………結婚……しよう……」




涙が…止まらない…。




千夏さん

千夏さん…見えてますか…?

聞こえてますか……?



貴方の願いが…貴方と誠さんの願いが約束が……
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