-roop-
「…暇なやつがいるもんだなぁー…」
泣き伏せる私の横で、誠さんは書き殴られた教科書やノートを手に取りながら言う。
あぁ…声がやっぱり少しだけ幼い気がする…。
だけど話し方は…
話し方は変わらないね……。
「…ほら…」
ふと何かを差し出されて顔を上げる。
「ははっ……顔ぐしゃぐしゃっ…」
無邪気に白い歯を零して笑う…。
差し出されていたのは…差し出されていたのは…
「…1本……どうぞ?」
赤い…マルボロの……っ
「あ…煙草……吸えない?」
前までは…ね…
だけど最後のあの日ベランダで…
「…ううん…っ」
私は涙を拭って、差し出された煙草に手を伸ばした。
そして…精一杯の笑顔で言う…
「……ありがとう……っ…」
私を愛してくれて…
救ってくれて…
……ありがとう………