-roop-
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「…約束の日まで…たぶんあっちの世界ではあと八日…きっと…丁度その日が…私の身体の限界ね…」
「…八日?ちょっ…もしかして八日間ずっと貴方になりきれって言うつもり?」
「そうよ?」
あまりにもあっさりと言い放つ彼女に少し腹が立った。
確かにこの話は交換条件によって成り立っていた。
にしても彼女の変に落ち着いた様子が気に障る。
苛立ちを押さえるように荒く溜息をつけば、すかさず彼女が口を開いた。
「それに…式当日までずっと此処にいれば、完全に命の炎が消えた貴方には審判が下されるわよ?」
「……っ」
反論する余地を残さない彼女の言葉に、悔しくて口をつぐんだ。
確かに命のアザが消えた私は、完全な魂だ。
彼女にはまだ微かながら青いアザが残っている。
完全な魂ではないから、まだ此処にいても審判が下されることはないのだろう。
でも私は…完全にアザが消えた私は………
誰が審判を下すのかは知らないけれど、式当日の前にその人に死人として扱われしまえば…
彼女の依頼を果たす前に審判が下されるならば…
私は生唾を飲み込んだ。
そんな私の肩に彼女は再び手を置いた。
「…交換条件出すなんて…卑怯だと思うかもしれない…でも…それでも…どうしても…」
また感情を見せる彼女。
冷静な時との差に戸惑いながらも、その冷静さを失わせるまでに彼女の想いが強いことが伺い知れた。
肩を掴む彼女の手に、私は自分の手を重ねて呟く。
「……大丈夫…式…挙げてくるよ…」
「…ありがとう……」
彼女は、小さく笑った。