-roop-
「…食べ…たい…!」
「……え…?」
挽き肉のパックを開ける手を止め、誠さんがゆっくりと振り向いた。
戸惑うようなその瞳に、私は慌てて言葉を付け足す。
「まっ…誠さんの作るハンバーグ…私食べたいっ…」
誠さんはピクリとも表情を変えない。
どうしよう…私何言って…!
「…そ…か…」
「…え…?」
少しずつ緩んでいく誠さんの表情。
「そうか!食べたい?!だよな!!よっしゃー!やる気出て来た!!」
気合いを入れ直すように袖をますますめくりあげる誠さん。
満面の笑顔でまた私に背中を向け、小さな鼻唄混じりに準備を始めた。
その背中からは…微かに悲しさが減っているような気がした。