-roop-
----------------


「すっ…すっごーい!!」


テーブルの上に並べられたのは、ハンバーグとポテトサラダにスープ。

彩りもすごく鮮やかで、レストランで出されてもおかしくないほどだった。

私はテーブルの上を覗き込みながら、つい興奮してしまう。


「誠さんすごーい!!お店出せるよー!!すごい美味しそうー!!」


自分が彼を騙していることも忘れ、私は無邪気に振る舞ってしまっていた。


「大袈裟だなぁ~」


誠さんは苦笑いしながらコップに水を注ぐ。


「だっ…だって料理苦手みたいなこと言ってたし…」


「ほい。苦手だぜー?でも何か今日はびっくりするくらいの大成功っ」


誠さんは得意げな顔で私の前に水の入ったコップを置く。



「よしっ!じゃあ頂くとしますかっ!」


私の向かいに腰かけると、誠さんはパンッと笑顔で両手を合わせた。

私も慌てて両手を合わせる。


「いただきますっ!」


「い…いただきますっ」


用意されたナイフとフォークで、出来立てのハンバーグを切る。

ふと視線を感じて見上げれば、誠さんは両手にナイフとフォークを持ったまま、私が切れ込みを入れたハンバーグを見つめている。


その表情は、私がハンバーグの味の感想を言うのを待っている…というわけではなさそうだった。



「まこ…」

「それさ」


私の呼び掛けを制するように誠さんが呟いた。

視線は私に向けられることなく、私のハンバーグに向けられたまま。



「……千夏…ハンバーグの切り方は……変わらないんだな……」


「え…っ」


自分のハンバーグを見てみると、不自然なくらいに切れ込みが全て斜めに入っていた。

< 80 / 293 >

この作品をシェア

pagetop