-roop-
揺れる3日目

赤いマルボロ

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ガチャッ

寝室のドアを開けると、リビングからはパンの焼けたいい匂いがしていた。


「おっ、千夏おはよ!」


両手にこんがりと色付いた食パンののった皿を持ち、爽やかな笑顔を見せる。


「お、おはよ…」


テーブルの上にはすでに湯気を立てる二つのコーヒーカップが並んでいた。


そのカップの隣にパ皿を置く誠さんの後ろ髪が、ピョンと跳ねている。


「なー朝飯パンで良かっ…え、なに、どした?」


振り向いた先の私がクスクス笑っているのを見て、誠さんは微笑みながらも戸惑う。


「誠さん、寝癖」


私は小さく笑いながら、誠さんの寝癖がある場所と同じ部分の自分の髪を撫でた。


「えっ…」


誠さんは慌てて私が示した場所に手を当てる。


「うあっ…って違うんだって!わざとよ、わーざーと!」


そう言いながら頬を淡く染めて、バタバタと洗面台へと駆け込んで行った。

その様子がおかしくて私はまた笑った。



笑いを堪えながら、テーブルに視線を向けると…



あれ…?



昨日見つけた壁のカレンダーの白い跡の上に、外国のロックスターのような人がギターを掻き鳴らしているポスターが貼られていた。



慌てて…隠したのだろうか…。


また微かに胸が疼く。

テーブルの上には、もう残り少ないマーガリンと

未開封の…いちごジャムとブルーベリージャム…そしてマーマレード…。


朝から買いに行ったのか完全に新品だった…。
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