smile 君といた日々







重い目をこじ開けて制服をはおる。
新しいからこそ着にくい。素材はパリパリしてる。
私が入学する学校は案の定、校則がゆるいから、身だしなみには規則がない。
体験入学のとき、髪の色が違うひとや、ピアス・アクセサリー・メイクなど。高校生にとっては当たり前の品を身に付けている人がそこらじゅうにいたのを覚えてる。
”みんなどうせいろいろとしてくるだろう”
私はそう思いやりたいように自分を飾った。別に目立ちたいだけじゃなくて、存在を残しておこうとおもって…
メイクはそこまで派手すぎず、地味すぎず。ナチュラルメイクで統一。ピアスは開けない。開けたら手入れしないといけないし、痛いから。アクセサリーも同じ。邪魔になるから。
残ってると言えば、髪の毛の色。ナチュラルで統一したいとこだけど、イエローブラウンという少し明るめの色素にした。肩くらいまである髪を、上の方で一つに結び、噴水のような状態にした。これで大丈夫。入学式はバッチシだ。

「ルナーお友達来たわよー」
下の階から、お母さんの叫ぶ声が聞こえた。

「今行く!」
返事を返してすぐさま昨日の夜、準備しておいたバックを手に取り、一気に階段を駆け降りる。



「ルナ遅いって」
「早くしないと置いてくよ」
いつも聞きなれている2人の声がした。
そこにいたのは中学からの親友。



松本咲(マツモト サキ)と矢部成美(ヤベ ナルミ)が玄関で立っていた。



「ごめんってーほら行こうよ!電車の時間、遅れるよ」


「ルナが悪いんでしょうが!」
咲が少し不満げな顔で私に言い張った。



2人は中学入って、初めてできた友達。今年で4年の付き合いになるかなッ?
咲はちょっと口は悪いけど、ふんわりしてて、コテでくるんと巻いたミディアムの髪が良く似合ってる。
成美はどちらかと言うと、咲とは真逆の性格で、頼れるお姉さんタイプ。腰まで伸びているロングな髪に、ストレートパーマをあてて、少し大人びた髪と、抜群なスタイルが魅力。



私はこの2人と違って、何も取り柄のない子。
いつも地味で平凡だった。
私ってつりあってるのかなぁ…?って悩まされる時もある。


自分ってダメ人間。叶うはずないものを追いかけても無理なのにね…

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