地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐

「あれ……君さ……」


及川さんがあたしに近付く。



あたしの髪を二つに分けて握った。





「…やっぱり。

君…俺と会ったことあるでしょ?」


顔を近付けて、覗き込まれた。


記憶の糸を辿る。


・・・・・・ん?

あ゛あ゛……!!!




「あっ…思い出した!」



この人……


あたしが左手に、ココアをぶっかけた人だ!!



咲さんとスタジオに行った時…


ぶつかって……やけどさせちゃったんだった!




「思い出してくれた?」


及川さんに聞かれて、コクコクと頷く。


「お名前は?」

「…神崎です。」


「じゃなくて…下の名前!」

「へ…?………杏樹です。」
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