地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
「…っ…………!」
「杏樹、怖いなら見ない方が良い。」
及川さんが、あたしの頭を自分の胸に寄せようとする。
固まったまま…動けないあたし…
血が、怖いんじゃない…
目の前の陸の姿が信じられないんだ。
ガラスの破片が、陸の腕を裂いた。
指先から赤い雫が滴り落ちてる。
ブレザーを着ていたのに
破片は腕まで到達していた。
陸の側には、赤い破片が散らばっている。
「……ぃゃっ………ぃゃ…!」
柚莉の時の悪夢が蘇る。
全身を真っ赤に染めて
虫の息だった柚莉を……
泣きながら助けを求めて来た姿が、脳裡を支配する。
カタカタ………と手が震えてきた