地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


「…泣き虫杏ちゃん」



笑いながら、あたしの涙をキレイな指先が拭う。



「…泣き虫じゃないっ」


手の甲で涙を拭い、陸を睨み付けた。



「…皆がいる前ではな?

絶対に泣かねぇけど。


俺の前では、泣き虫杏ちゃんになんだろ?」


「うぅっ……ふぇっ……んぅ…」



止まったはずの涙が、また溢れてくる。




なんでわかるんだろ…?


小さい時から、泣くことと弱音を吐くことを我慢してきた。



だから…

泣きたくても、泣けなくなった。


弱音なんて言えなくなった。



柚莉を守ることを決めた時から…


柚莉に心配を掛けちゃいけない…

泣かせたくない……
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