地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


左手で器用にブレザーのボタンを外し、

パサッとソファーの下に落とした。



「…杏。ちょっと離れて。」


言われた通りにすると、陸にネクタイとカーデを奪われる。



「…これで、おあいこだな?」


フフッと二人で、笑いあった。



「誰か来るかもよ…?」


保健室のドアを見る。


「平気。入口の鍵はさっき閉めた。」

「…用意周到過ぎでしょ?
まさか最初から、これを考えていたんじゃ……。」



「考えてて悪い…?」

けろっと答える陸。



……………呆れた。
あたしは、必死に泣くのを我慢してたのに…。

陸は、最初から“これ”も視野に入ってたの?



信じられない………。
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