地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


しばらく俯いていると…

「バカ杏…」


と言われて、引き寄せられた。


「ふぇっ……?」


すっぽりと陸の腕に収まる。




「…黙ってる方が、余計心配掛けてるんですけど?」

「……ごめんなさい」


「なんのバイトかも言わねぇし……会う度に痩せていってるから、マジで心配だった。」



背中に回された手に力が入る。



「……良いダイエットだよ?」

「それ以上痩せてどうすんの?

手も足も、折れそうなくらいに細いくせに…」

「???……」


陸を見上げた。



「少し力入れたら、すぐに壊れそう…」


苦笑いであたしを見る。



「…そんなにヤワじゃないし…壊せるもんなら、壊してみてよ?」



言った瞬間、陸が固まった。
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