地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


「…………えっ……?」


「ごめんなさい、約束している人がいるの。その人に渡すから…」



上田の目の前にあった大量のマドレーヌは、杏樹がさっと可愛い紙袋の中にしまう。




「…じゃあ……そっちは?

俺のために作ってくれたんでしょ?」




もうひとつ…小さな箱を指差す。






「……すみません、作ってない。矢田さんからもらって…」



大事そうに箱を抱える杏樹。



「…それは、誰にあげるの?」



聞いた途端、杏樹の頬がピンク色に染まった。




「…………ライオンです」


「「「はい!?」」」



意味不明な答えに、思わず聞き返す男子達。




「…ライオンがお菓子なんて食べるの?」



「……食べてくれないかもしれないけど……一応あげます!」
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