地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐



答えた途端…押し付ける力が抜けた。




連れ込まれる時に、握った紙袋から箱を取り出す。



「…はい。陸の分」


陸の手の平に乗せた。



リボンを解いて、蓋を開ける。






「…ガトーショコラ?」



「…………うん」



恥ずかしくなり、顔を見ずに答えた。





「…見た目は良いけど、杏のことだから砂糖と塩を間違えてんじゃねぇのか?」


「なんですって!…そんなこと言うなら、食べてくれなくて結構です!」



キッと睨み、箱を取り返そうと陸に手を伸ばした。





「………んっ………」




伸ばした手を掴まれて、キスされた……。




「何してっ………」


「すっげぇ―嬉しい…。ありがとな?」




耳元で甘く囁かれた。
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