地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐



「……“別れて”って言った時の陸の目………物凄く冷たかった」


「……………。」

「あんな顔……したことなかったのに……。いつもの温かい笑顔なんて微塵もなかった…」



「そんな…………」



杏樹が下を向いたまま続ける。



「………それにね?
“バケモノ”は消えろってさ。」


アハハ………と乾いた笑い声を上げた。




“バケモノ”


…………言ったわね。


杏樹にとって1番の禁句を……!



「必要ない存在だから、消えろって…」


泣き笑いを浮かべる杏樹。


思わず抱きしめた。


「大丈夫。杏樹は必要な人だよ。」



この言葉を何度も繰り返して言い聞かせる。
< 509 / 698 >

この作品をシェア

pagetop