地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
「……“別れて”って言った時の陸の目………物凄く冷たかった」
「……………。」
「あんな顔……したことなかったのに……。いつもの温かい笑顔なんて微塵もなかった…」
「そんな…………」
杏樹が下を向いたまま続ける。
「………それにね?
“バケモノ”は消えろってさ。」
アハハ………と乾いた笑い声を上げた。
“バケモノ”
…………言ったわね。
杏樹にとって1番の禁句を……!
「必要ない存在だから、消えろって…」
泣き笑いを浮かべる杏樹。
思わず抱きしめた。
「大丈夫。杏樹は必要な人だよ。」
この言葉を何度も繰り返して言い聞かせる。